第三話―第五話

配信期間ぎりぎりなので一挙に見る。もうちょっと早くから見ておけば何度か見られ野だと、後悔先たたずを実感。


・第三話
沢城みゆきキャラの話。猫モードのときよりずいぶん余裕がないキャラで何か違和感。あまりミントさんっぽくないですね。はい。
前回のラルクと違いこの沢城キャラは「子供の夢を奪われた子供」という感じか。大人なら子供の夢を奪われても、嘆きこそすれ固執はしない。奪われた夢のことを思い続けるところこそが子供である由縁である、というわけ。そしてそこに当然の様に障害というか啓発者として存在する天然の子供ノノという構造。
例によってキーになる情景(今回は雪)をシナリオ上にきちんと配置して、最後にまとめる作劇が巧み。破天荒バトル(赤方偏移とか青方偏移とかやっているところを見ると、それなりに理論的裏づけも取っているのかな?)が、見た目のスペクタクルだけでなく、ちゃんとドラマに回収されていく様は爽快である。


・第四話
大逆転展開。こうきたか。敵が味方で味方が敵、というのはありふれたものだけど(「いとしいいとしいいとしいあなた」とかね)、前シリーズの存在や今までの流れが上手いミスディレクションになっていて、ころりと引っかかりました。脱帽。

わらわらでているトップレスをこちらが憶えきらないうちに消えていくのがもったいない。ここのあたり各キャラがもっと深く描きこまれていたら、終盤の文字通り阿鼻叫喚の地獄絵図が、より鮮烈なものになったろうに。ラルクやチコにしても、ノノとの関係性においてキャラが立っているに近い状態だしね。特にラルクはニコラとの関係とかもうすこし広がりと深みがだせるキャラだったのではないかと思う。
 サーペンタイン姉妹とかも、妙な不快感を撒き散らしただであっさり消えてしまうし。
せめて一クールはほしい話だった気がこのあたりでしてくる。
つーか今からでも遅くない。完全版ということで作ってほしいところ。

ノノ役の福井裕佳梨はシリーズを通してあまりうまくなっていないのが、ここでの長口上シーンで露呈。ここはびしっと決めてほしかった。
最後まで、コンテが庵野秀明、というクレジットに驚く。つまらない実写ばかりを取っているうちに才能が枯渇したかと思っていたけど、コンテマンとしての力量はまだまだA級であるみたい。もっとやってほしい。


・第五話
配信最終話。ここまで無料で見せれば最終話に客は食いつくはず、としたメーカーの自負も少しわかる。これはけっこう気になるもの。
 
「急」にあたる回で、前回の「破」で今までとは戦局もキャラクターの立ち位置も一変したのちの大詰めへの直進である。
が、ニコラの妄念と暴走、ラルクの心情等、明らかに尺が足りてないのがきつい。

超巨大宇宙怪獣相手の、ブラックホールをたくさん作ってとか惑星を握って持ってくるとか、話がものすごい勢いで、でっかいオーバーテクノロジーになるのが壮観です。

が、しかしラストのノノの心境がどうにもわからないので、あまり盛り上がらない。結局この辺も掘り下げ不足という感じ。お姉さまを守りたかったのか、ノノリリ的に一人宇宙の果てで戦いたかったのか、その両方なのか、あるいは違う理由なのか。そのあたりの判断は最終回待ちにしておきたい。
でもそれはいつになることやら。
というのは、シナリオ面の詰め込みすぎは保存版として確保して何度も見るような価値を失わせているような気がするのだ。まあ、各三話ずつ全二巻ぐらいの廉価版として再発でもあれば、考えてもいいかなと思うけど。


ともかくも二日で五話、二時間数十分、なかなかの見世物でありました。