第三話

 ううむ。これは不条理アニメなんだろうか。すごく難しい作品だ。
 近い作品に『ウィンド』とか言うのがちょっと前にあったが、どういうことかという、ギャグで無いのにギャグのような場面、ギャグのようなのにまったくギャグになっていない場面が連続したり、思いつきで入れたようなエピソードが面倒になったので放棄したみたいな状態で終わったり、平たく言って、なにを考えて作っているのかわからない。

 たとえば、今回の話だと、生徒会長が学園でサムライの人を除くと最強であるという説明がなされ、実際彼女は強いわけなのだが、なんで強いのかさっぱりわからないのだ。強いという説明に内実がない。競技の場面でもただ「勝った」という場面を並べるばかりで、その強さの秘密が全然わからない。単純に、成績優秀、スポーツ万能と誰かに言わせて、「普通に」足の速いところ等、運動神経のいいところを見せるだけでもいいのだが、それすらしないのだ。
 一年生三人組の「姫には勝てません」と同じことを脚本家がやっているっていう……あ、これはもしかして手の込んだメタフィクション

 そんなこんなだからラストの素直との一騎打ちもぜんぜん盛り上がらない。会長がなにが得意なのかというような基礎的なことすらちゃんと説明できてないから主人公に対抗のしようがあるのかすらわからず、視聴者としては、ただ成り行き任せで見るしかないのだ。主人公だから健闘するんだろうなーっていうか勝つんだろうなー主人公だし、っていう程度の見方ですね。

 いや、盛り上げるつもりは無いのかもしれない。戦いが盛り上がったらブルマが目立たなくなってしまうというそういう計算で敢えてやっている可能性すらある。

 であっさり主人公が負けてしまうと、ますますよくわからないわけで。
 つまりこの話はどういう話かというと、よくわからない理由で権力を握っている変な生徒会長が、自分のわがままでいろいろ賭けをしたりして、よくわからない力でもって相手を圧倒し、罰ゲームをさせるという、独裁政権って最低っていうお話なのかしらん。

 え? 主人公が徐々に人望を勝ち得ていくのが本筋? すると最後はクーデターですね? 
 あるいは生徒会長も篭絡で、権力乱用に「トサカきてた」人が、結果的に権力に懐柔されて取り込まれる話?

 どちらにしても、ラブコメはどこに入ったかというと、お空の星になりました。