第二十三話「聖杯」

いやあ、かっこよかったですね! ヘルシングのCM。音楽は一巻目のCMのほうがよかったけど。

 というのはまあ置いておくとして――
 こちらは大詰めったら大詰め。

 でも相変わらず皆さん棒立ちでおしゃべりするのであった。故に、緊張感はまったくない。

 ところで、原作やってたときは気にならなかった(というより分量が多すぎて突っ込む気力がなかった)が、エクスカリバーの鞘って十年前の戦いの時はセイバーは持ってたのか? 伝説上のアーサーは死ぬだいぶ前に鞘をなくしているはずだし、奈須きのこ版がそうでないとすると、モードレッドに致命傷を負わされるはずがない。故に、フェイト世界においても持ってなかったとするのが正しい解釈であるはずなのだが。
 もしサーヴァント化したら失われたものが戻ってくるというご都合設定だとしても、果たしてそんなに大切なものを相手がマスターとはいえ渡すだろうか? 令呪で命令されて奪われたのなら、忘れているはずないし。故に、御都合以前に目茶苦茶な話なのであった。故に、原作の欠点を丁寧に炙り出していくこのスタッフの姿勢にはもしかしたら感謝すべきなのかもしれない。

 聖杯の設定も原作通りにわけのわからないままである。一度もまともに覚醒したことがないものが「どんな願いも叶えられる」とは一体誰がわかるのだ? 「と推測されている」を都合よくはぶいたということなのか? 

 ギロロ言峰は、結局言ってしまいましたな。あの馬鹿哲学を。あーあ。アーカード巌窟王(十五話まで)はあんなにかっこいいのに。
 言葉がリズミカルでないうえ、語法がまわりくどいので聞いて理解するに適してないし、言ってること自体も目茶苦茶(物事一切に無関心なのか、嗜虐趣味の快楽志向なのかはっきりせい)。故に、聞いても楽しくないし、考えに付き合っても楽しくないのである。つまり、どうしようもないのだ。故に、「故に」を神父は何回言ったかとか余計なことを考えてしまったりするわけで。

 ビジュアル面での見せ場であるバトルもねえ。三分ぎりぎりまでスペシウム光線を使わないウルトラマン以上に、頭の悪いセイバーの突貫攻撃。もしかしてマゾ?
 エアの直撃を食らってのダメージが前回と違うのは鞘のせいなのかね。コントのオチみたいに顔面から倒れてたから、顔はまっ平らになっているでしょうな。
 相方である士郎くんもやっぱり突貫しか能がありません。しかもまさに徒手空拳! 
 骨の髄まで馬鹿です、この人。
 凛の剣を隠しておくのいいとして、お得意の投影でじゃんじゃん剣を出せばいいじゃんときっと誰もが思うはず。相手を油断をさせるだけでなく、相手の攻撃をみすみす食らうメリット(致死の可能性もあるのに)などどこにもないはずなんだが。まったく持って意味不明です。
 
 とまあ間抜けカップルが自業自得でピンチになって次回続く、で一体誰がサスペンスを感じるんでしょうか?

 そういえば、言峰は凛をわざわざ居間まで押し込んでから攻撃したのかな? (原作でも思ったことだけど、凛はあそこで死んでいるとドラマ的に美しかったと思う。ベタだけど、話が引き締まる)


―追記―
鞘がどこにあったかについては、旧サイトで本稿発表時にコメント欄でご指摘いただいた。イリヤの実家で発掘したんだとか。
コメントの詳細は旧サイトのこちらで。