第十三話「構想の死角」

刑事コロンボなサブタイトルですが、話は何の関係もないですね。それ以上に面白くないのが問題ですけど。

 なにが面白くないかというと、いまどき機械に自我が芽生えてどうのというのをもったいぶってやっているのが面白くない。日本のロボットには鉄腕アトム以来、自我の存在なんて基本なのです……というのはまあ極端な言い方だけど、これまで、(時折制動をかけられたりするところをのぞいて)プログラムっぽく動いてなかったロボットに、「自我が芽生えた!」とか言われても、なにが凄いのって言う話。単に命令聞かない馬鹿になっただけにしか見えません。それとも自我の芽生え、とは馬鹿になるという意味である、という深遠な思想の開示なのか。
 この作品に限ったことではないが、機械、プログラムされた人格と、そうでないいわゆる意識との対照を描く話ではまず、その両者の違いをきっちり描いてないとなんの思考実験にもならないのではないかと思う。

 それにしても、リルを甘やかされて育った馬鹿なお嬢様と描くのにはどういう狙いがあるのでしょうか? 機械依存症? ヒロインを徹底的に馬鹿にするなんて、なかなか冒険的な企画ではあるけれど……。