シャンバラを征く者

テレビシリーズの直接の続編、なのだがこのものすごい蛇足感は一体なんなんだろう? あ、蛇足だからですね、はい。
ストーリー面ではいろいろ含みを持たせていたにせよ、テーマ的にはテレビはテレビで完結していたから、続きはやっぱり後付けっぽくなる。たとえ当初の予定通りだったとしても。
 もっとも、テレビシリーズをテーマ面でも未消化で終わらせていたら、それはそれで問題だろうから、これは仕方ないことなのかもしれない。
 そういうわけでこの劇場版もまた、多くのテレビシリーズの劇場版がそうであるように、いかにもこじつけたような新しい設定と無理矢理ひねり出したような新しい敵とがのさばって二時間で解決してしまうような「大事件」を起こす、という、ちょっとしたお祭り感覚を拭えない仕上がりになってしまった。いってみれば、カーテンコールみたいなものである。
 逆にいえば、そういうものだと割り切ってみればこれはそれなりに楽しい映画ではあるのかもしれない。パラレルワールド設定によって、もとの世界では死んでいるキャラクターが再登場し(まさにカーテンコール感覚だ)、そのパラレルワールドが我々のすんでいる世界の近過去であることから、その時代の著名人の「ゲスト出演」(ラースのこの世界バージョンの正体には驚いた)もある。劇場版なだけにアクションもスペクタクルも存分にあるし。物語が全然面白くないことを気にしなければ、なかなか贅沢な一編ということが出来ると思う。
 では物語のなにがまずいかというと、話の核が、テクノロジーと人間なのか、故郷なのか、というところにはじまって、悪役の不在というか、対立構造がよくわからないところ、最後に暴れるおばさんの悪意が説得力皆無なこと、落ちが微妙すぎるところ、ほとんどのキャラがただの顔見世みたいなところ、ナチスネタの後味が悪すぎるところ。問題ありすぎである。とくにあのラストはどうだろう? 
 錬金術が使えない錬金術師はただの浮浪者だ!
 蛇足はどこまでいっても蛇足だったという話。

 ラルクのOPとEDは曲自体は別に悪くないが、OPはその直前のお姉さん達の歌のほうが雰囲気良かったし、EDは違うとわかっているのにモーリーが歌っているみたいで、ちょっと困った。