第一話

いきなり何事かとお思いでしょうが、中古で安価だったので。
 DVD時代幕開けの古いソフトなので画質はどうかなとか軽い気持ちでちょっと再生してみたら、つい一話まるまるみてしまったのでした。夜も更けているというのに。
 しかし、すばらしい。OPが実写じゃない!
 というのはともかく、内容は……やっぱりおもしろいよこれ。
 世間的に絶不評のようですが、妹が十二人っていう狂ったシチュエーションを不条理ガジェットとして逆に活用、あまつさえ舞台まで不条理の塊にして『プリズナーNo.6』オマージュに仕立て上げるなんて企画が良く通ったものです。

 時期的にはちょうど、テレビアニメがソフトを売って儲けを狙うようになったころの作品だけど、同時にエヴァの余波で作家性を前面に出す風潮も許容されていて、それがどういうわけかこのメディアミックス企画のなかでうまく共存してしまったのだった(最近だとフタコイオルタナティブが近い気がするが、あれは最初から外すことが意図されてた企画だから、実はどんな変化球も出来レースで、偶発性という点で大きく異なる。結局、失敗作だったし)。
 現行作でたとえてみるなら『いぬかみっ!』で全話犬憑きマッチョが暴れ続ける、みたいなものか。
 まあ。もともとの企画のファンは怒りそうだし、商業的にも微妙だったのかもしれないが(『リピュア』なんて作られたぐらいだしね)。

 それにしても、この第一話、大畑コンテはノリノリだし、テンポもネタの密度もいい(不動産屋が明らかに急造だったりするあたり、芸が細かい)。あみやまさはるのシナリオのなかでも上位に入るんじゃなかろうか。
 作画は一話目なのにかなり微妙だけど(確かその後もよくならない、どころか悪くなっていった憶えが)。まあ、作画でみせる作品じゃないよね。

 シリーズ全体でみると、中盤の出来ががかなり危険なのを認めるのはやぶさかじゃないし、監督交代等のごたごたで作品全体のコンセプトがずれたようなところもあって、名作とはちょっといいがたいのだけれど、なにか愛着が湧く作品なのでした。服部隆之の音楽も素敵だ。