第十二話

 パトロンをゲットという話とラブコメならぬラブクライシスなお話。たまたま通りがかるとなんかしてたとか、偶然顔を合わせるとか、「女の一方的な恋愛」を親の仇のように醜悪にえがくとか、まるでシリーズ構成補佐の吉野弘幸が書いてそうなシナリオだなと思いながら見てたら、まさにその通りでした。
 
 それにしても、テロリストのアジトにマスクにケープのカッコマンがみんなと一緒にちょこんと座っている風景はなかなか微笑ましいものがありますね。しかも話す内容は、予算足りるとか足りないとか。孤高の指導者という売りこみで人身掌握を図っているわりにはフレンドリーです。任務のとき以外は一切姿を現さない、ぐらいの突き放しをしないと、物理的な支配手段を持たないので(文字通り「実力」がないから)、いつでもどこでもあなたのお側にゼロが、の状態だと、やがて確実に舐められると思うのだが。そんなことも計算できないのか、それともそれが分かっていても出てこないではいられない――じつは寂しがり屋、ということなのか? 難解なシナリオですね。

 シャーリーの悲劇は伏線が張ってあったかなあと思うのですが、張ってなくても気にしないシナリオライターなので、遡ってみないでもいいでしょう。大規模災害を起こして大して成果をあげてないテロリストが大衆の支持を得られるはずもないのですが、これはやっぱりそういう計算すら出来ない甘ちゃんが勘違いして周囲に迷惑をかけていく話とするのでしょうか。あるいは、これは「はじめてだから」ミスもたくさんある、という風に片付けるのか。後者だとちょっとやばい。
 ようするに、未完成のヒーローの成長譚をやりたいのか、ヒーローになれると勘違いした馬鹿の失墜譚をやりたいのか、ということですね。なんか全体の煽りやOPの雰囲気だと、なんだかんだでルルーシュの行動を間違っているが、同情できる、的な悲劇の主人公としたい雰囲気がいっぱいなのですが、今のところ同情する余地がほぼない上、見れども見れどもそのヒロイックな要素は描かれない。むしろどんどん馬鹿であることがはっきりしてしまっている。
今回終盤の入れ替わり大作戦にしても、服を何対作っているんだというのはともかくとしても、とりあえず、相手の兵に成りすまして忍び込めば何とかなるという恐ろしくシンプルな作戦で突っ込んだとしか思えないわけである。だって、会見場がどういうロケーションであるか事前にはまったく出来なかった以上、、綿密な段取りなど立てられていたはずがないのだから。
そんな場当たり的な作戦しか立てられないリーダーについていけとかいわれてもテロリストさん困っちゃう。

 ルルーシュの願いの一つであるブリタニアを壊すというのだって、どうやって壊すのかぜんぜん分からない。こちゃこちゃとコーネリアと小競り合いをする意味がどこにあるのかぜんぜんわからないのだ。単身ブリタニアに潜入して、お得意のギアスで持って皇帝を暗殺しにいけばすべて丸く収まるのではないのか?
ともあれ、ようやく本題が見えてきた感じではあるので、もう少し方向性がはっきりするまでは、あまりいわないことにしましょう。しかしもう半分方来ているんだよなあ……。