決定。
部門につき三つが基本。太字が一応トップ(それ以外順位なし)。

けっこう長いので、てっとり早くリストを見たい人はこちら
そうでない人は3時間のアカデミー賞でも眺めるつもりでのんびりどうぞ。<OP/ED映像部門>

BLOOD+』第三シーズンOP 演出:塩谷直義 歌「Colors of the HeartUVERworld
ローゼンメイデントロイメント』OP 演出:山本沙代 歌「聖少女領域ALI PROJECT
桜蘭高校ホスト部』OP 演出:紅優、歌「桜キッス」 河辺千恵子


 ブラッドプラスは四本あるOPのうち三本までは出来が非常によく、そのなかでもこれは特にレベルが高い。大胆で鮮やかな色彩と、ドローイング風の塗りがまず目を引くが、本編では結局最後まで見られなかった、小夜のヒロイックなかっこよさや神秘性、獣性の表現がスタイリッシュな構図のなかで、美しく定着している。UVERworldの曲は名曲でも名演でも無い気がするがというわけではないが、第四シーズンの風邪を引いたクリリンの声で歌う奴とか、偽MORRIEとか、ガンダムSEEDDESTINYでもよく聞いた気がする女性ボーカルのごく普通なアニメソングよりはいいと思う。
 ローゼンメイデンは、前作に比べると驚くぐらいクオリティがあがって、スタイリッシュなつくりが素敵なのだが、最後のほうのジュンと真紅のお茶の場面あたりに常識的な妥協(普通の描き方でキャラを描いている)があったりするのはちょっと残念。できれば、本編をすべてこの様式に準じてやってほしかった。まあ、ウテナになってしまうが。
 ウテナ系といえばホスト部もそうだが、こちらは様式性はそれ自身が目的ではなく、あくまでアニメ的な楽しさ(踊るシーンとかね)の補佐という位置にある。曲は正直にいって大して特徴の無いポップスなのだが、映像との相乗効果で非常に聞いていて心地よい。

 上記三作以外では「サムライチャンプルー」「ひぐらしの鳴くころに」「地獄少女」「ブラックラグーン」が印象に残っています。<ベストキャラクター部門>
 男女に分けようかと思ったが、選考結果を見ればすぐに分かる事情により、まとめて五人ということで。

閻魔あい(『地獄少女』)声:能登眞美子 
藤岡ハルヒ(『桜蘭高校ホスト部』) 声:坂本真綾
ハクオロ(『うたわれるもの』) 声:小山力也
石田咲良(『ガンパレードオーケストラ白の章』) 声:豊口めぐみ
鬼丸美輝(『無敵看板娘』) 声:生天目仁美

 男が一人しかいないのですが、主人公が男のアニメって言うと、ギャルゲー系ばかりなんだもの。少なくても見た範囲では。まあ、ユニセックスな人やら、そのスタンスは限りなくヒーローの人もいるのでバランスはいいかなと。
 その紅一点ならぬ漢一点のハクオロ王は、その保護者のようでいて被保護者だったりする、かっこよさとかわいらしさのバランスがいい感じ。小山力也の渋いがいい意味で貫禄のない声がぴったり合っていました。同時進行で展開しているネットラジオ(これはもう実質本編とはパラレルな外伝というか続編みたいな代物で面白い。)での、ラジオ慣れ、トーク慣れをまったくしてないご本人の、美声の持ち主なのにヘタレというキャラが記憶をなくして根無し草状態のハクオロ王そのままだったりもしました。同じ小山氏が演じた『リーンの翼』のサコミズ王も、マッチョなところと繊細なところが共存したいいキャラでしたね。

 残りの四人の女性キャラはどれも「かっこいい」とか「凛々しい」とか「ヒーロー」とかそういう要素を兼ね備えてますね。たんにそういうキャラが多かったのか、そういうキャラしか記憶に残らないのか微妙なところですが。
 閻魔あいは、キャラクターとしてはそれほど特徴の無い、むしろオチをつけるための装置のようなキャラですが、閻魔裁き&お仕置きシーンの気合のはいったヴィジュアルが素敵なのと、個人的には吸血姫美夕以来の最強無敵ヒロインという気がするので、トップ入選。
 藤岡さんちのハルヒさんは、実態は、王道少女漫画主人公という感じですが、王道につきものの「どこにでもいる普通の女の子」という偽装を取っ払ったところにいる潔さがいいです。
 武闘派のラーメン屋の店員さんは、少年漫画ではよくある、女という設定で描かれた男性キャラ(作者の男性感の反映、という意味)ですが、その手のキャラによくある、とってつけたような女らしさ」みたいものが少なくて、小気味いい。
 石田中隊長はもっといいストーリー、キャラクターたちのなかで活躍させてもらえなかったのが残念至極。<サブキャラクター部門〉

須王環(『桜蘭高校ホスト部』)声:宮野真守
アトリ(『ノエイン〜もう一人の君へ〜』) 声:鈴村健一
来栖とまり(『かしまし〜ガールミーツガール〜』) 声:田村ゆかり
プチキャラット(『ウィンターガーデン』) 声:沢城みゆき
翠星石(『ローゼンメイデントロイメント』) 声:桑谷夏子

 2006年のもう一人の「王」にして、限りなくヒロインな「殿」。選ばれた五人の中では、リアリティという重力からもっとも無縁なところにいるキャラですが、だからといってその存在意義まで軽くなるわけでもない。設定がもっとも嘘くさいながら、その性格はもっとも視聴者に近い人間くささを備えていた彼の存在は、ホスト部の存続のみならず、アニメ版の屋台骨にもなっていました。完璧超人のハルヒだけでは、作品のご都合主義臭が鼻持ちならなくなっていたことでしょう。
 限りなくヒーローだったのはアトリで、これ、最初的として出てきた相手が紆余曲折を経てもっとも頼もしい味方になるという展開の典型なのですが、その味方になる過程の説得力が非常に高く、そのことがちゃんとラストの大活躍の強力な裏づけになって、あの一連の感動の源となったのでした。
 とまりは、田村ゆかり的にはダカーポのさくらに続く、金髪ツーテールで主人公の幼馴染(そして、ふられる)キャラでしたが、その凛々しさとけなげさはさくらよりだいぶ上でした。せめて漫画版ではその思いが報われればいいのですが(無理かなあ)。
 ぷち子は、毒舌突っ込みキャラが、思いやりある突っ込みキャラに。よくできた(できすぎた)妹でした。
 翠星石は、トロイメント全体が低調で、本来一押しの真紅様もまるで冴えないなか、小動物な可愛さを披露。第二期は本を読むシーンのためだけにあった気がします。

 で、入れようか迷ったのが、『鉄コン筋クリート』の鈴木(声:田中泯 )。原作どおりにかっこいいのですが、原作どおりでしかないような気もするのでした。かっこいいといえば、「ガンダムシードディスティニー」のデュランダル議長(声:池田秀一)は後半キャラがよれよれになるにもほどがあるけど、序盤、特に第一話の名前を巡るおしゃべりとかはかなり好みである。
 あとは、ケロロの夏美(声:斎藤千和)。初期から一貫していいキャラなのですが、ケロロ自体がここのところ冴えないので、強く印象に残る話も出番もなかった気がします。


〈劇伴曲部門〉

佐橋俊彦(『シムーン』)
マーク・マンシーナ(『BLOOD+』)
光宗信吉(『あさっての方向。』『ローゼンメイデントロイメント』)

 音の豪華さでは、ハンス・ジマーの代打として参加したマンシーナの作品がピカ一じゃないかと思うのですが、どう聞いてもグラディエーターなテーマメロディがあるのが引っかかります。まあ、そっくり曲という意味では佐橋のインチキモーツァルトも相当なものですが、あっけらかんとした使いかたなぶん、違和感はすくなかった。光宗作品は、華やかな「ローゼン」とミニマルな「あさって」で甲乙付けがたい出来。
 次点としては、七瀬光(『ノエイン』)が、かつてのぺらぺらシンセサウンドクロノクルセイドとかね)から、長足の進歩を遂げていて素敵でした。


〈歌曲部門〉

河井英理『まどろみの輪廻』(『うたわれるもの』ED)
ROCKY CHACKリトルグッバイ』(『ゼーガペイン』ED)
島宮えい子ひぐらしのなく頃に』(『ひぐらしのなく頃に』OP)

 プログレ系のスケール感ある歌を歌い上げた河井が断トツ。ゼーガのEDは終わってみると本編のいちばんいいところ(無常観であるとか、喪失感であるとか、愛惜であるとか)を音に変換している感じでした。ゼーガはほかのED、OPもいい曲だったなあ。曲は、本当によかった。
 プチキャラット沢城みゆき)の『Le petit jardin』(『ウィンターガーデン』)はフルコーラスをまだ聞いていないので、入れにくかった。CDを買わんと。
 レディオヘッド(『エルゴプラクシー』)は、新曲でもないし、いちばんいい部分を削った編集なので却下。大槻ケンヂと橘高文彦の『踊る赤ちゃん人間』(『NHKへようこそ』)は、筋肉少女帯再編のプロローグという意味ではとても素晴らしい作品だが、楽曲としてはBクラスの出来なので、アウトということで。まあオーケンもいい歳です。
 あと、イントロだけならば、Naoki with Power Sound『COYOTE』(『コヨーテラグタイムショー』)も入れてもいいかも。この曲、歌を抜いてスカパラあたりにカヴァーさせたらかっこいいんじゃないかなあ。あるいは歌を英語にしてタワーオブパワーあたりにやってもらうとか。


〈エピソード部門〉
 すべての話数が選考対象になるわけだから、基本の三つでは無理。十を上限に考えた。

うたわれるもの』第二十六話「うたわれるもの」脚本:上江洲誠 絵コンテ/演出:小林智樹 作画監督:中田正彦
ゼーガペイン』第十六話「復活の戦場」脚本:関島眞頼 演出:工藤寛顕 絵コンテ:西澤 晋 作画監督大貫健一(キャラ)&西井正典(メカ)
トップをねらえ2!』第四話「復活!! 伝説のバスターマシン! 」 脚本:榎戸洋司 絵コンテ:庵野秀明 演出:大塚雅彦 作画監督柴田由香・(メカ)今石洋之
いぬかみっ!』第二話「マッチョがぺろぺろっ! 脚本:玉井☆豪 絵コンテ/演出/作画監督:斉藤 良成
地獄少女』第十三話「煉獄少女」脚本:西園 悟 絵コンテ:小島正士 演出:小坂春女 作画監督:服部憲知・森下昇吾
シムーン』第九話「審問」脚本:西村ジュンジ 絵コンテ:藤原良二 演出:神保昌登 作画監督:西岡 忍
ノエイン』第一話「アオイユキ」脚本:赤根 和樹、絵コンテ:赤根 和樹、演出:安田 賢司、作画監督:中屋 了
桜蘭高校ホスト部』第二十三話「環の無自覚な憂鬱」脚本:榎戸洋司 絵コンテ/演出:松尾慎 作画監督:長谷部敦志・菅野宏紀
僕等がいた』第一話…脚本:小川みづき 演出:そ〜とめこういちろう 絵コンテ:大地丙太郎/そ〜とめこういちろう  作画監督:白井伸明
ARIA The NATURAL』 第十二話話「その 逃げ水を追って…」「その 夜光鈴の光は…」脚本:吉田玲子 絵コンテ:佐山聖子 演出:安藤健 作画監督:松岡謙治

 序盤の骨太のドラマ構成から徐々によろけていきつつも、大団円は直球ストレートで見事まとめた『うたわれ』。MXの再放送でまた観るともなく見てしまったが、やっぱりいい。ラジオでのハクオロ王とアルルゥのやり取りを知ったあとでも、感動できるんだからたいしたものである。
 『ゼーガ』は、今思うとシリーズの問題点の端緒が現れていたりもする回で、エピソードとしての完成度はそれほどでもないかもしれないが、リセットのシーンの緊張感と切迫感はその後の駄作化という現実を跳ね除けるだけの力がある。『トップ2』はスタッフでほとんど勝ったようなものだけど、そこまでの蓄積がものをいっている側面もあるが(ある意味庵野でなくてもよかったとも言える、儲けどころの多い展開であるから)、そのチャンスを逃さず最大限に生かした成果がこれといえるだろう。『いぬかみっ!』は散々書いたように、変態部門の極北。これを超える危険で変態で笑えるパロデイはしばらくでないに違いない。『地獄少女』は第一期の最重要回であると同時に、現在の「二籠」で完全開花する耽美路線の最初の結実でもある。なお、あの画家の絵は安倍吉俊が描いていたのだそうだ。気に入るわけである(分厚い画集を初版と復刊版両方持っているぐらいにはファンなので)。
 『ノエイン』は冒頭の戦いのインパクトが作品全体のビジュアル面での基調となり、ハルカたちの日常パートがリリカルなドラマを予感させる、由緒正しい第一話。何がどうなっているのかはっきりしなくても見せきる力の勝利である。
 『ホスト部』は全話のクオリティが平均して高いので、突出した話数がないともいえるのだが、その中ではカサノバ君の話の後編であるこれと第一話が一歩抜き出ている。作品的には第二十話( 脚本:池田 眞美子 演出:安藤 健 絵コンテ:羽多野浩平 作画監督:中野 彰子)が最もいいのだが、作画がすごいことになっていたため、入れようがなかった。
 『僕等がいた』はノエインと同じく第一話に作品の主要ポイントのほぼすべてがあるパターン。
 安定しすぎて評価が返って難しい『アリア』は、シリーズ的には外伝に近い作を。主題がファンタジーでも、夏の朦朧とする暑さの表現などはこのシリーズの日常劇の蓄積の賜物で、ある意味シリーズの総決算とも言える。観ようによっては、ケットシーがらみの裏のメインストーリーの本編ともいえるし。


〈演出部門〉
 (ということになっているが、実質コンテ部門かもしれない)

僕等がいた大地丙太郎、そーとめこういちろう、他。
桜蘭高校ホスト部』 五十嵐卓哉、安斎剛文、他。
地獄少女』 大森貴弘小坂春女、他。

 素朴でさながら原作をそのままアニメに置き換えた風だが、きちんとアニメに消化できている大地作品と、トリッキーでアニメ的な演出を多用しているが、原作にじつはかなり忠実でもある五十嵐作品、アニメだけどテレビドラマチックなカメラワークと耽美性の共存を図った大森作品と、三者三様だが、革新性よりも才能の充実と安定を感じさせる作品が多かったですね。
 あとは、『ARIA THE NATURAL』(佐藤順一、他)、映画の『時をかける少女』(細田守)の優等生な作劇、もいれてもいいかも。<作画部門〉

桜蘭高校ホスト部』キャラクターデザイン・総作画監督高橋久美子
うたわれるもの』キャラクターデザイン・作画監督:中田正彦 アニメーションプロデューサー:岩佐がく
ノエイン もう一人の君へ』キャラクターデザイン/アニメーションディレクター:岸田隆宏 CGIアニメーションディレクター:高橋将人
 
 文字通り華麗なホスト部と、けっこう無理のあるオリジナルキャラクターデザインの印象を崩さずに血肉の通った動きをさせた『うたわれ』、パワフルなアクションとギミックとケレン味をいっぱい仕掛けて描いた『ノエイン』。
話は終わっていたが、作画レベルは終始高かった『エウレカセブン』は一応付記しておこう(しかし結局なにが「セブン」だったんだろうね)。


〈脚本部門〉

桜蘭高校ホスト部』 シリーズ構成/脚本:榎戸洋司
僕等がいた』 シリーズ構成:池田眞美子 脚本:池田眞美子、小川みつき、山田由香、他。
ARIA The NATURAL』 シリーズ構成:佐藤順一、脚本:吉田玲子、藤咲あゆな、他。
 
 横綱相撲の榎戸洋司(榎戸は、『トップ2』もけっこうよかった。フリクリも見てみようかな)、話自体は微妙ながら、これ以上はのぞめない仕上がりを見せた池田眞美子。そして、安定したキャラクタードラマを提供した佐藤&吉田コンビ。
 次点では『うたわれるもの』の上江洲誠(シリーズ構成/脚本)の『ノエイン』の赤根和樹(シリーズ構成/脚本)、をあげておきたい。前者は無骨ながらも独自のドラマを語りきったこと、後者はおそらくたくさんあったであろう制約の中での最大限の努力を称えたい。あとは質的にも量的にも小味ながら心地よいエピローグを作った『ウィンターガーデン』の桜井弘明が印象に残っている。


〈作品部門〉

桜蘭高校ホスト部』 監督:五十嵐卓哉
ノエイン』監督:赤根和樹
うたわれるもの』 監督:小林智樹

 完成度でいうともうこれは、ホスト部しかないのですが。瞬間的な熱量の高さとオリジナルのそれも、そもそも間口の狭いSFネタに切り込んで、きちんとまとめあげた「ノエイン」も素晴らしい。うたわれは、原作もののたどる困難に立ち向かいきれなかった感はありますが、技術力の高さで見事「ある英雄と家族の物語」を「うたい」きることが出来ました。

次点としては『シムーン』(監督:西村純二)。序盤の迷走がとても痛いが(というか見るのが大変)、焦点が合い始めた七話あたりからは、時折ピントが狂いつつも、しっかり完走。序盤で見捨てた人が大量にいそうな不幸な一品でした。あとは『僕等がいた』。完成度はおそらくホスト部の次くらいなのだけど、話がどうにも、支持しかねる。というかしたくない。未完、というクレジットでも出ればまだ納得したかもしれないけど。あと、全六話という枠組みではどうにもおさまらない内容を企画してしまったのが運のつきの『トップをねらえ2!』(監督:鶴巻和哉)。
 映画はどれも面白かったけど、あと一手に欠けました。あえて選ぶなら『鉄コン筋クリート』(監督:マイケル・アリアス)でしょうか。


 おまけ

2006ワーストアニメ!!
 
 まあラジー賞みたいなものと思ってください。単純な駄作というよりは印象が悪いもの、という感じです。

〈作品部門〉

涼宮ハルヒの憂鬱
『かしまし』
ゼーガペイン

 本編の微妙さに加えて構成やら周辺事情やらで印象が強烈なものと、最後の五分の印象ですべてが台無しのものと、なまじっか中盤(だけ)がよかっただけに後味が悪いもの、という感じですね。

〈シナリオ部門〉

舞-乙HiME
Fate/stay night
ローゼンメイデン トロイメント
 ほとんどすべての展開が「偶然」によって行われるという駄目駄目だった前作を受けて、さらに偶然と牽強付会を足し、より駄目駄目にした作品と、突っ込みどころ満載で駄目駄目だった原作を受けて、説明不足や余白で誤魔化していた問題点、間抜けなところを忠実に再現、ないし補足し、誰の目にも分かる駄目駄目ドラマにした作品と、強引なアレンジではあったがそれなりにまとまっていて、駄目駄目でなかった前作を中途半端に継承して、ご都合展開をしまくった挙句、話もキャラも壊して、駄目駄目にしてしまった作品(おまけに、それに輪をかけて駄目アレンジをつけた番外編までつくった)。
 芯が腐ってると、たいていの食べ物はまずくなる、という話です。

 ちなみに脚本ともいいたくない代物がひとつあります。その名はゲド戦記』(作:宮崎吾郎

〈キャラクター部門〉

キョン(『涼宮ハルヒの憂鬱』)
ホランド(『交響詩篇エウレカセブン』)
レヴィ(『ブラックラグーン2nd』)

俺はオタクじゃないんだが、と言い張る誰の目にも明らかなオタクと、俺は苦しんでいるんだぞと、弱者をどつきたおすDV男と、見た部分ではほとんど出ていないんだけど見た部分の印象が最悪だった、乳房のある男。この三人に比べればあさっての方向の兄とかはまだましかもしれない。

〈エピソード部門〉

らぶドル』第一話
練馬大根ブラザーズ』第一話
銀色のオリンシス』第一話
貧乏姉妹物語』第一話
『かしまし〜ガールミーツガール〜』第十二話
いぬかみっ!』の後半ほとんど。

 一話しか見てないのばかりですが、書き出しは小説の命であるとも言うように、冒頭で徹底的に視聴者を排除するのは、作劇上かなりの冒険(背水の陣どころではない。自爆攻撃である)といわざるを得ないので、これは意図してそうしたというよりは、失敗の産物と見るのが正しいでしょう。そういった意味では、ひどいながらも次回への含みを残せたハルヒはうまくやったとは言えます。入賞した四つの第一話はどれも三十分が異様に長かった。
 ラストで躓くのも、印象としてはいいとはいえない。むしろ、最初でやらかすより、最後まで付き合ってくれたものを突き放すのだから罪は重いかもしれません。ゼーガペインのように終盤じっくり低調になっていったほうが、考えようによっては良心的です。

 まあこんなところですか。